解説ページトップ


プールの使用済み核燃料も
メルトダウンの可能性
〜再臨界の可能性も!〜

■以下の文章は、たんぽぽ舎発行「東海地震と浜岡原発事故」山崎久隆著の講演録に掲載されたものを編集したものです。たんぽぽ舎のご協力に感謝します。たんぽぽ舎発行の冊子はこちら

 燃料プールですけれども、これは原子炉建屋の上の方にあるんですね。この中にだいたい10炉心分くらいの千数百体の燃料が最大入っている可能性があります。


◆原子炉左上の水色部分が燃料プール。NSネットHPより

 そこの燃料については、滞留期間が短いのもいれば、長いのもいるわけですね。古い時代の10年くらい前の燃料ならば、もはやそうそう熱も発生しませんので、溶ける心配はないだろう。しかし、この前の定期検査で取り出したばかりの燃料ということになると、まだ十分高い熱を出していますので、これが露出するようなことがあれば、それもメルトダウンを考えなければいけない。

 ただ、燃料取り替え用プール自体は非常に大きなもので、深さも10m近くありますので、そこの水が地震の初期にプールが破壊されて、一気に水が抜けてしまうことが起きれば、もうお手上げですね。けれども、そういうことが起きずに、ポンプが止まったという状態だけなら、すぐにメルトダウンということは考えなくても大丈夫だろうと思います。

関西電力ホームページより

 もし冷却ポンプが壊れれば、プールの水がブクブク沸騰し始めて、泡立ってきますね。ただ、沸騰していても中に水がある限りは冷却能力はありますので、それが空気中に露出するまで水位が下がってしまわない限り、メルトダウンはたぶん起らないだろうというふうに考えていいです。

 ただし、破損燃料というものを考えないわけにはいかない。沸騰中の燃料表面はまだちゃんとラックの中に入って存在するというのが大条件です。倒れてしまったり、崩れたりという条件になってしまうとまた全然変わってしまって、しかも水が入らないような潰れ方をしてしまった場合、そうするとスリーマイルになってしまいますので、スリーマイルのように溜まった熱の部分の水が全部蒸発して抜けてしまって空洞ができる。

そこにあった燃料が溶けてしまうんです。上の方は水がまだいっぱいあるのに、そこには内部の温度が上がって、上がると水が蒸発して蒸気が発生します。その圧力が外から水の侵入を防いでしまうんですね。


Global Networkホームページより

 その空間部分でどんどん発熱反応が進んでしまって、燃料破損、メルトダウンが起きるという可能性はありえますので、燃料ラックが壊れずにちゃんと燃料を保持していること、これが大前提です。

 設置許可申請書を読んでいても、少なくとも地震で燃料ラックが崩壊しないようにと確かに書いてありますね。ここが崩れてしまうと前提条件全部崩れてしまうので、メルトダウンを考えないわけにはいかないのですが。そこが崩れないようにしてあれば、プールの水がある限りメルトダウンは回避可能であろうというふうに思います。

 極端なことを言うならば、プールの水がどんどん減って行って露出しそうになったら、消防用のポンプをつないできて、海水を汲み上げて中に投入するという方法でもメルトダウンを防ぐことはできます。後は塩害でぼろぼろになりますけれども、放射能を放出するよりはまぁましでしょうということです。


●使用済み燃料の再臨界の可能性

 原子燃料そのものは核分裂性物質をまだたくさん抱えていますので、これが異常接近をすると、再臨界をします

つまり、燃料体はある程度の距離を離してプールの中に沈めてあります。その距離というのは、最悪の場合でも、0.95倍にしか中性子が増えない位置に置くようにとなっています。

 0.95倍というのは、1つの中性子が飛んでいって、次の中性子をたたき出すことができたとしても、それが1にならないということですね。1になると臨界ですから。0.95に抑えてあるので、再臨界しないことになっています。

これも設計上置いてある燃料、異常に偏った状態になるといっても、それぞれの燃料ラックやなんかが健全であることを前提としてますから、先ほど私が言ったみたいに崩れ落ちてしまうような条件になると、全然それ当てはまりません。


燃料集合体。四国電力ホームページより

 したがってそんな事態になった時に、古い燃料はまだしもこの前の定期検査で取り出したばっかりの燃料は再臨界を起こす可能性がかなり高いというふうに考えざるをえない。

 その条件はどういう条件かと言うと、炉心の中に入っていたような位置関係とそれより近い距離になれば、再臨界は免れられない。今燃料プールに入っているのは1体ずつラックの中に収めてあるはずですね。燃料集合体の距離が近づかないようになってる。

 それが、ぐしゃっと押しつぶされるような形になった場合ですね。これはどういう時を想像すればいいかというと、建屋が崩れるような時です。燃料プールそのものが崩れ落ちるようなそういう事態になると、使用済み燃料プールの燃料は再臨界を起こして、一瞬時に巨大な水蒸気爆発を起こすという事態を考えなければいけない。

 そこまで行ってしまうと、もう最大級のチェルノブイリを越えるような大災害になります。したがって、プールそのものが崩れる、つまり、建屋が崩れるような事態というのは原子炉だけではなくて、使用済み燃料プールも巨大な核災害の引き金となると。

 例えば、圧力容器は大丈夫だったけれど、燃料プールだけが崩壊をする。建屋が崩壊をして、燃料プールの中の燃料が1ヶ所にギュッと圧縮されてしまったと。そういう状況を考える時にやはり、恐ろしい。あれだけ巨大なプールなので、非常に複雑な揺れをするんですね。

●燃料プールに波が起きる

 しかも、長い周期の揺れに共振しやすいという特徴があります。そういう長い揺れの周期に共振をすると、スロッシング現象と言って、液面がものすごい高い波を立てます。その波を立てた時に、燃料プールそのものにも水圧の加重がかかるわけです。

その巨大な加重に耐えられるかどうか。もちろんその時は同時に建屋そのものも揺さぶられるわけですから。そういう時にコンクリートの接合面なんかが剥がれたりすれば、崩れるという現象が起きます。

 それから、スロッシングの大きな波に燃料が流されないか。流されて1ヶ所に押し縮められないか。そういう現象が起きても再臨界の危険性は高まります。

 したがって、使用済み燃料プールについてはそういう現象を抑えるためにフタをするという方法が1つは考えられます。本来は燃料プールというのは水が空気中に露出をしていて。その上に鉄板か何かでフタをしていく。そうすると、大きな波が発生したり、そういうことで燃料プールのスロッシングを抑えるというようなことも1つは考えられる。

 もう1つは使用済み燃料プールの中に燃料を入れない、抜いてしまう。そのためには使用済み燃料輸送キャスクのような形の容器に入れて敷地のどこかに保管するというようなことも考えなければいけないかもしれない。


燃料輸送キャスク。JNESHPより

 そうすることによって燃料の絶対量が減ることで、水に対して燃料の比率が減りますので、燃料体の冷却能力が十分確保できるし、距離も取れます。距離が取れることによって、そう簡単に1ヶ所に集まらない。そういうことも考えられます。そういう燃料プールに関する対策はどういうことが考えられるか。いろいろまだ考えられると思うんですけれども、以上で終わりにします。