HOME





安全の根拠とされる「耐震設計審査指針」は78年の策定。同指針策定以前に作られた1、2号機の耐震性は信用できるのか?また、東海地震は同指針が定めるM(マグニチュード)6.5よりも大きなM8が予測されていることについてどう思うか?
   
1、2号機は450ガル(加速度)まで、3、4号機は600ガルまで耐えられる耐震設計をしているとのこと。東海地震は兵庫県南部地震(833ガル)以上の揺れが予測されるが大丈夫か?
   
地質学者が浜岡原発の地盤には多数の断層があることを指摘している。また、原発周辺の土地は、もともと砂丘だったため地盤が柔らかいとも言われているが、これらの指摘をどう思うか?
   
万が一地震によって浜岡原発が重大な損傷をきたし、チェルノブイリのような放射能漏れ事故が発生した場合について、中部電力、原子力安全・保安院ではどんな対策を練っているか?


「通販生活」の記事のページ


 浜岡原子力発電所(以下、浜岡原発)は、経済性、長期的な電力の安定供給の確保、環境問題への適合の観点から、今後とも重要な電源であると考えております。
 今般、札幌で開催された国際測地学・地球物理学連合総会の場で、茂木、石橋両教授から、個人のご見解として、浜岡原発の耐震安全性について疑問が呈されていることは承知しておりますが、当社としては、以下のとおり、浜岡原発の耐震安全性が、十分確保されていることを確認しております。
なお、今回のご質問も含めお客様から頂いたご質問につきましては、当社ホームページにてもご案内しております。

問1
原発の安全上重要な施設は、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(耐震設計審査指針)に基づき、過去に発生した地震や敷地周辺の活断層などを詳細に調査し、想定される最大の地震に加えて、その地域の限界的な地震も考慮して耐震設計を行なっています。

同指針で定められているM6.5の直下地震は、調査の結果、敷地周辺に活断層がない場合にも念のため考慮するものであり、これは最大M6.5を想定すればよいということではありません。浜岡原発では、M8.0の想定東海地震、M8.4の安政東海地震、さらにこれを上回るM8.5の限界的な地震を考慮して耐震設計を実施しており、東海地震に対する耐震安全性は十分確保されていると考えております。同指針策定前に建設された浜岡1、2号機は、3〜5号機と同じ耐震基準に基づき解析評価を実施、耐震安全性が確保されていることを確認しています。

問2
平成7年兵庫県南部地震の際、表層地盤上で800ガルを超える加速度も観測されていますが、これに対して、浜岡原発の耐震設計で考慮している最大加速度600ガルの地震動は、岩盤上で考慮しているものです。岩盤を伝わってきた揺れは、柔らかい地盤を伝わる際に増幅するため、浜岡原発で考慮している600ガルの地震動は、表層地盤上では1000ガルを超えるものに相当すると考えられます。

問3
原発の建設の際には、原子炉建屋の建設予定位置に掘った試掘坑(トンネル)において各種の試験を行い、岩盤の強度等を実際に測定しています。その結果、浜岡原発の基礎岩盤は、原発の基礎岩盤として十分な強度を有していることが確認されています。

また、発電所の敷地に存在する断層は、調査の結果、少なくとも約8万年以上動いたことのない断層であることがわかっており、原発の耐震設計において考慮すべき活断層ではなく、この地域で100年〜150年の間隔で繰り返し発生しているM8クラスの大地震の際にも全く動いていないことが確認されています。

問4
浜岡原発の耐震設計は、国の耐震設計審査指針に基づいて行われ、国による厳重な審査を受けています。 また、耐震設計審査指針は、多くの被害を出した兵庫県南部地震を踏まえても、その妥当性が損なわれることがないことが、国において確認されています。

従って、浜岡原発において、地震が原因で原子力災害が発生し損害を与えるようなことはないと考えております。原子力災害に関しては、万が一原子力災害が起こった場合を仮定して、国、静岡県、浜岡町および当社において、原子力防災対策を定めています。

また当社においては、法律に基づき作成した「原子力事業者防災業務計画」に従って、毎年、緊急事態に対処するための訓練を行い、防災体制の充実に努めています。なお、チェルノブイリの事故は、日本の原子力発電所とは、設計および運転管理が全く異なることから、日本ではこのような事故は起こり得ないと考えております。



問1
駿河湾及び駿河トラフ付近などを震源域とする東海地震は、100〜150年の間隔で大きな地震を起こすプレートの沈み込みによる地震ですが、このような地震の場合、有史以来の地震の発生状況を綿密に調べることなどによって、起こりうる地震の大きさや震源域について概ね予測することができます。

また、活断層による地震についても、敷地周辺の地質を徹底的に調査することなどによって、起こりうる地震の大きさや位置について概ね予測することができます。「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」では、有史以来の地震の発生状況や敷地周辺の地質の詳細な調査を行い、近い将来起こりうると考えられる地震のうち、原子力発電所に最も大きな影響を与える地震に対して耐震安全性が確保されるような設計を行うことを求めています。

さらに、この地震を上回る到底起こりえないと考えられる地震までも想定して、それでも十分な耐震安全性が確保されるような設計を行うことを求めています。浜岡原子力発電所(以下、浜岡原発)3〜5号機の安全上重要な建物や機器などは、M8.0の想定東海地震、M8.4の安政東海地震、さらにはM8.5の南海トラフ沿いに想定される地震までも考慮したうえで、これらの地震にも十分耐えうるような設計がなされていることを確認しています。

また、指針策定以前に設置された1、2号機についても、3〜5号機の設計時に考慮した地震動を用いて計算を行うことにより、十分な耐震安全性が確保されていることを確認しています。なお、最新の知見に基づいて想定東海地震の地震動を計算したところ、浜岡原発3〜5号機の設計用に想定した地震動と比べて小さく、浜岡原発の耐震安全性に問題ないことが確認されています。

問2
原子力発電所は岩盤上に配置されますので、想定する地震動も岩盤上において作用するものとして設計されています。一方、兵庫県南部地震で観測された800ガルを超える強い地震動は、表層地盤上で観測されたものです。
地震動は、岩盤から表層地盤に伝わる際に増幅されて大きくなりますので、表層地盤上では岩盤よりも大きな地震動が観測されることになります。例えば、浜岡原発5号機では岩盤上で600ガルの加速度を想定していますが、この場合の表層地盤上での地震動は約1300ガルになるという解析結果が得られています。このように、兵庫県南部地震で観測された833ガルの加速度を、浜岡原発で想定している450ガルや600ガルの加速度と比較することは適切ではありません。

問3
浜岡原発の基礎地盤は相良層と呼ばれる砂岩・泥岩の層で、分類上は確かに軟岩に分類されるものですが、この基礎地盤については、強度実験などを行った結果、原子力発電所の基礎地盤として十分な強度があることを確認しています(一部メディアでは、地表に露出して風化した部分をもって地盤が軟らかいという誤った結論を導き出している例も見受けられます)。
また、浜岡原発の基礎地盤の相良層には、複数の断層が認められますが、詳細な地質調査を行った結果、それらの断層が地震を起こすような断層ではなく、原子力発電所の安全性に問題となるようなものではないことを確認しています。

問4
東海地震などの地震の発生に伴う原子力災害の防止については、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律をはじめとした法令などの規定に基づいて、原子力発電所が十分な耐震性を有していることを確認するなど様々な措置がなされており、原子力発電所における災害の防止に万全をつくしております。

また、万が一、地震の発生に伴って原子力発電所で事故が起こった場合でも、災害対策基本法に基づき作成されている防災基本計画、さらにはその防災基本計画に基づき作成されている防災業務計画に原子力災害対策について定めており、その対策に従って適切に対応することが可能であると考えています。